【2章】なぜ企業はカレンダーを配るようになったのか
1年で一番身近な広告媒体の誕生
今では当たり前のように見かける企業の名入れカレンダーですが、この文化はいつごろから始まったのでしょうか。
実は、企業が名入れカレンダーを配布するようになったのは、昭和になってから急に次始まったわけではありません。その起源は明治時代にまでさかのぼると言われています。
当時は現在のようにテレビやインターネットはもちろん、新聞を購読していない家庭も多くありました。企業が自社を知ってもらう方法は限られており、お店の看板や口コミが中心だった時代です。そんな中で「一年間浸かってもらえる広告」として広まったのが名入れカレンダーでした。
1 一年間、家の中においてもらえる広告
広告にはさまざまな種類があります。
新聞広告は一日。チラシは数分。テレビCMは十数秒。インターネット広告は数秒で流れてしまいます。
一方、カレンダーはどうでしょう。
一度壁に掛けられると、
一年間毎日目にすることになります。
しかも、お客様が自ら「使いたい」と思って飾る広告です。広告を見せられているという感覚ではなく、生活に必要な道具として受け入れられる。
これはほかの広告にはない大きな特徴です。
2 日本人に暮らしと紙のカレンダー
日本では昔から、家族みんなが見られる場所にカレンダーを掛ける習慣があります。
玄関。居間。台所。冷蔵庫の横。
毎日の予定を書き込み、学校行事や地域の行事、病院の予約日などを家族で共有する。
紙のカレンダーは、単なる日付を見るためのものではなく、「暮らしを管理する道具」として使われてきました。
そのため企業が配布するカレンダーも、「広告」ではなく「生活用品」として受け入れられてきたのです。
実際に、年末になると新しいカレンダーに掛け替えることが年中行事になっているご家庭も少なくありません。
「今年も新しいカレンダーをもらったから掛け替えよう。」
そんな何気ない習慣が、企業と地域のつながりを育ててきました。
3 地域のお店だからこそ意味があった
企業カレンダーが特に広まったのは、地域密着型の商売でした。
酒屋さん。お米屋さん。電気店。工務店。そしてLPガス販売店。
どのお店にも共通しているのは、一度使って終わりではなく、何年、何十年とお客様とのお付き合いが続くことです。
地域で商売を続けるためには、「困ったときに思い出してもらえること」が何より大切でした。
だから会社名と電話番号を大きく載せたカレンダーが配られるようになったのです。
「何かあったら、このお店に電話しよう。」
そう思っていただくことが、最大の目的でした。
4 LPガス会社と企業カレンダーの相性
この企業カレンダーという文化は、LPガス業界と非常に相性が良いものでした。
ガスは毎日の生活に欠かせないものです。
しかし、お客様は毎日ガス会社と話をするわけではありません。
故障しなければ数年間、一度も連絡を取らないこともあります。
だからこそ、お客様の生活の中で会社を思い出していただく仕組みが必要でした。
その役割を果たしたのが、名入れカレンダーだったのです。
一年間、家庭の中にあり続ける。毎日会社名が目に入る。電話番号がすぐ分かる。
これはLPガス会社にとって理想的な販促ツールでした。
5 時代が変わっても変わらない物
近年はスマートフォンで予定を管理する人が増え、企業カレンダーを配らなくなった業界もあります。
しかし、それでも多くのLPガス販売店では、今も年末にカレンダーを配布しています。
それは、カレンダーの価値が「日付を見ること」ではなく、「お客様との関係を続けること」にあるからです。
カレンダーは、一年間お客様の暮らしの中にあり続けます。
そこには会社名だけではなく、
「今年も来てくれた。」「毎年ありがとう。」という記憶も一緒に残ります。
私たちは、企業カレンダーが長く続いてきた理由は、この「人と人とのつながり」を育てる力にあると考えています。









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